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映画「コンプリシティ/優しい共犯」の感想・レビュー

こんにちは。

 

映画の日の水曜日に新宿武蔵野館で「コンプリシティ/優しい共犯」という映画を見てきました。

complicity.movie

 

河南省から日本へ技能実習生としてやってきたリャン。日本に行けば稼げるという言葉に乗って日本に来たのですが、犯罪のような胡散臭い仕事から逃げ出してしまいます。そして、偽造の在留カードと他人の携帯電話を持って、リュウという名前で蕎麦店に住み込みで働くことになります。

 

蕎麦店の店主(弘)は、わざわざ中国から蕎麦作りをしたいとやってきた中国人として、リャンを温かく迎え、蕎麦作りの仕事を教えます。しかし、彼は不法滞在という立場であるため、常に何かに怯え、電話の呼び出し音に耳をそばだてています。

 

それでも、この山形県大石田という町で出会う人たちとの交流は彼にとって、厳しい現実を忘れるつかの間の癒しとなります。そこにおける、人と人として、国籍を超えて、また言語を超えての心の交流が淡々と描かれます。 

 

時々、映画は中国での生活がどうであったのか、どういう経緯で日本に来ることになったのか、をオーバーラップさせます。さんざん悪態をついていたお婆さんですが、リャンがいざ日本に行くことが決まったときには、一張羅のジャケットを嬉しそうに買い与ます。

 

リャンがいよいよ日本へ出かける日、皆がバス停に集まる中国の人々の姿が映し出されます。異国の地への出発に対する、皆の期待や心配。リアルな中国河南省の人々の描写によって、観る者は彼の心情に寄り添うことができます。

 

出発の時には、お婆さんがくれた、裁縫道具のケース。ボタンが取れたときには必要だと言って裁縫道具の袋を渡してくれたのですが、リャンが開けてみると、そこにはお金が入っていました。

 

不法滞在であることがわかってしまい、リャンは蕎麦店から逃げ出しますが、結局は蕎麦屋に戻ってきます。それを店主は何も言わずに受け入れ、何もなかったかのように仕事をさせます。

 

リャンは心の内を語りませんが、お婆さんを亡くし、借金を抱えて、一体日本に何しに来たのかという忸怩たる思いがあるに違いありません。

 

その絶望しているとも言えるリャンに対して、蕎麦店の店主がまるで自分の息子のように接して、蕎麦打ちを教えます。後継がいない孤独な店主との心の交流はお互いを必要としているかのようです。

 

リャンがその後どうしたかは見る人に任せて終わります。決して甘くない現実が待っているように思います。しかしながら、あの日蕎麦店の店主と、北京で蕎麦をやりましょう、と二人で夢物語を語ったことが、いつの日か夢ではなく実現することになればいいなと思います。 

 

・・・

 

映画の最後。テレサ・テンの「時の流れに身を任せ」が主題歌としてタイトルバックに流れます。ああ、この曲は私自身が30年前に海外へ出たときに繰り返し聞いた曲でした。なんというせつない曲。

「もしも、あなたに会えずにいたら、わたしは何をしてたでしょうか。。。」 哀切な歌です。 中国の人はみんなこの曲を歌えるんでしょうかね。

 

 

最後に、、、

 

新宿武蔵野館について

この映画館に来るのは一体いつ以来だろう。最近はもっぱら自宅近くのシネマコンプレックスばかりで、単館上映の映画館に来ることは久しぶりでした。

1番シアターで上映していたのですが、意外に座席が多く、予約していた席は思ったよりも後ろでした。案外とスクリーンから遠い感じがしたのと、座席に傾斜が少ないので、前の座席の人の頭がじゃまになって、結構見づらかったです。

もし、新宿武蔵野館に来られる場合には、ぜひ前の方の席を予約することをお勧めします。

 

今日は以上です。