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話題の映画 1917命をかけた伝令 に込められた意味とは

 

こんにちは。

 

週末に今話題のほぼワンカットで撮影されたという、本年度アカデミー賞最優秀撮影賞・録音賞・視覚効果賞を受賞した、「1917命をかけた伝令」を観てきました。

1917 命をかけた伝令 (字幕版)

 

ドルビー上映でしたので、音響そして映像がとてもよかったです。

eiga.com

 

 サム・メンデス監督自らの脚本による作品だそうです。サム・メンデス監督は「アメリカン・ビューティー」や「007スカイフォール」などを手掛けたことでも有名です。

 

今回の映画は、ほとんどワンカット撮影に見える手法を撮っているということが話題になっていたので、最初はそのことばかりがやや気になって観ていました。

 

冒頭イギリス軍の陣地から、塹壕に入って行く道中はカメラが前に回り、途中後ろに回ったりしながら、若い兵隊のイギリス兵スコフィールド(ジョージ・マッケイ)&ブレイク(ディーン=チャールズ・チャップマン)を映していきます。そのため、観る側は彼らと一緒に進んでいきながら、同時にその先に何が待ち構えているのかわからないまま、進んでいきます。

 

それが画面に緊張感を与えています。一体次に何があるのか、敵兵が待ち構えているのではないか、銃弾が飛んでくるのではないか、と身構えながら、スコやブレイクと一緒に旅をするのです。

 

ドイツ軍は確かにいったん撤退していたことがわかり、彼らは信号弾を打ち上げます。とりあえずの突破に成功しました。そして、その先の廃墟の村での出来事が前半の重要なシーンとなります。合流してきた部隊のトラックに乗せてもらい、途中まで進んで川を渡ったあとの銃撃戦で、彼は階段の踊り場に落ちて気を失います。

 

この間のブラックアウト。わたしは、ふとここで実は大きく話が変わったのではないか、と穿った見方をしてみました。

なぜか、スコが気を取り戻して起き上がると、カメラは彼から離れます。そして、上の部屋を映し出し、そしてその窓から外へ出てベランダを超えていきます。ベランダからカメラはパンして夜の照明弾に照らされた廃墟の町を映し、そこにスコが現れてくるのです。

ここは唯一、彼に寄り添っていたカメラがいったん離れているのです。

 

そのあと、燃えている教会なのか、燃えさかる建物を背景にして十字架の形をしたモニュメントを象徴的に描きます。そこで、敵に見つかったスコは銃弾をかろうじて、逃れふと地下の一室に入り込みます。そこには、隠れていた若い女性と赤ん坊がいました。

 

このシーンは一体何を意味するのでしょうか。それまでの廃墟には誰かいるかと思っても誰もいませんでした。それが、このシーンにおいては人がいたのです。

 

そして、彼女との会話にはどんな意味があったのか。スコはミルクが入った水筒や、食べ物の缶詰などいろいろ重いものをそこへ置いて出ていきます。

 

そして、全くの丸腰になってスコは廃墟の中を逃げていきます。なんとか逃れて川に飛び込み、おぼれるところをなんとか助かります。川面に浮いている彼の顔のところに、桜?の花びらが散ってきました。このシーンは、ミレーの絵画「オフィーリア」そのものです。

ja.wikipedia.org

 

それが何を意味するのでしょうか。とても暗示的です。オフィーリアはやがて水に沈んで息たえるのです。

 

一方、スコは死屍累々たる川辺から岸にあがります。すると、かすかに歌声がきこえてきます。川から上に上って行くと、そこにはイギリス軍の一団がひっそりと森の中にいました。 

ついにスコが伝令を伝える目的である、第2大隊が森の陰にいたのです。一人の兵士が歌っています。そのスコットランドの曲のような歌を、じっと聞いています。とても静謐なシーンです。

 

なんとか、スコは無事に第2大隊に追い付き、隊長に伝令を伝えます。目的は果たされたのです。 そして、ブレイクの兄を見つけ、弟の死を伝えます。

 

この映画の後半は戦争のリアルを描きたかったのだろうか、という気がします。むしろ、それよりも違ったところに意図があるのではないか、とさえ思います。

 

いろいろな見方ができる映画だとおもいます。

 

 

今回は以上です。