前回9月に青森公演を見たのだが、その時には視角的に今一つ見づらいところがあったので、機会があればまた見たいと思っていた。また、1回見ただけではあの怒涛のプログラムを吸収しきれなかったということもあった。そこで、いくつかの公演の申し込みをしていたのだ。それが1月の長野公演だった。
長野までは新幹線で東京・大宮からなら1時間程度で行けるので時間的にもとても便利だった。しかも長野駅前からはシャトルバスの運行があり、非常にスムースに会場に到着することができた。
会場はビッグハット。1998年の長野五輪では主にアイスホッケーの会場として使用されていたところだ。五輪のマークと大会のロゴが掲げられている。
9月の青森での公演から4か月が経ち、アイスショーは更に磨きが掛けられ、メンバー同士の一体感はますます高まっていた。巨大LEDビジョンでの映像にも前回とは違う工夫がなされていて、より分かりやすいものとなっていた。
このショーはショートサイドを正面として考えられている。今回はロングサイドでの鑑賞となったため、前回とは違って首を左右に振らねばならない場面もあった。それでもロングサイドならでは、よりスピード感が感じられ、スケートのダイナミックな動きがよく分かった。
冒頭から感じたことは、キャストの誰もが自信を深めて滑っていることだった。それは全身を使って大きく演技するところや、スピード感からも感じられ、スケーターが発する熱量は確実に観客に伝わってきた。そして、今回、怪我から復帰したエルネストが活躍していたことも一層ショーに輝きを増していた。これで全てのピースがはまり、完全なショーとなったのだ。
かつてある人がこう言った。スケーターは氷上に立った時にグレイスフルでなければいけない、と。実際このショーを見ているとその誰もが氷上で絵になるのである。
浅田真央の演技は特に際立っていた。どのプログラムでもそうだったが、その演技には強烈なプロフェッショナリズムを感じた。全身全霊を打ち込み、妥協を許さぬ滑りをしていた。本人が「130%の力を発揮した」、と言っていたとおり、その滑りは時に速すぎて大丈夫かと思うほどであり、凄かった。
恐らく、そのストイックさ、こだわりが他の出演者にも伝播し、相乗効果となって現れ、それによって素晴らしいショーが作り上げられているのだと思った。
このアイスショーではBeyond(乗り越える)という言葉をテーマにしているが、そのメッセージは出場する浅田真央らのスケーターだけでなく、私たち見ている者にとっても、夫々がかかえている課題であったり、何かを乗り越える夢や勇気を与えているように思った。
前回観に行った、青森八戸での公演記事は以下からどうぞ。
ではまた。