新八犬伝で有名な人形作家の辻村ジュサブローさんが亡くなった。それを聞いてふと、NHKの新八犬伝が懐かしくなった。1973年4月~1975年3月までNHKで放映された人形劇である。あの当時はジュサブローという名前のテロップが出ると、変な名前だなあとだけ思っていた。
その当時、NHKといえどもビデオテープは貴重だったようで、せっかく放送した番組のほとんどが上書きをされてしまっていて、DVDとして残っているのはわずか3話だけだという。せっかくの名作がこれでは実に悲しい。
とりあえず、NHKのDVDで「新八犬伝」3話を収めたものがあったので、早速購入してみた。
このDVDでは、まず辻村ジュサブローへのインタビューが収録されている。NHK人形劇シリーズというのがその当時はあって、どうもその最後として八犬伝をやるということになった。それで、人形の依頼が彼のところへ来たのだそうだ。辻村ジュサブローは八犬伝が好きでよく読んでいたので、すかさず「僕やります」ということになったらしい、ことを語っていた。
そして、放送から10年後の坂本九が登場する。ちょうど1985年、日航機墜落事故で彼が亡くなる前の貴重な映像だ。
この新八犬伝では、坂本九が弁士として語りを入れているのだが、トーンが高く明るい声と活舌良い語りが実に素晴らしいのだ。NHKでは収録が朝から始まるということで、朝にもかかわらずボルテージを上げて、あの調子の声をださねばならない、というのは大変だったようだ。そこで、彼は一人スタジオで裸足になって録音に臨んでいた、ということも語っていた。
肝心の収められている新八犬伝は3話ということで実に短いのだが、それでも最後には八剣士が登場するので、うろ覚えではあるがその当時見ていた懐かしい人形をみることができる。
関心したのは、その登場人物に当てていた声優たちが実に声が良くそして上手だということだ。思わずその話に聞き入ってしまう。
DVDでは全ての話をみることができなかったので、勢い余って「南総里見八犬伝 現代語訳」を購入した。これがなかなか面白いのでおすすめだ。
ではまた。