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NHKドラマ「ガラパゴス」に触発されて、原作「ガラパゴス」を読んでみた。おすすめ。

先だってNHKの総合放送で、「ガラパゴス」というドラマを放送していた。これは元々BSで放映していたものを再編集し、あらためて総合放送で放映したもののようだ。

主演織田裕二、共演伊藤英明桜庭ななみ満島真之介高嶋政宏ら、という陣容もさることながら、その問題提起された内容が実に興味深かった。社会の闇をえぐりだす、硬派な社会派ミステリーだ。

 

 

ガラパゴス。この言葉は、日本の家電や携帯電話など、諸々のものが日本独自の技術やサービスにこだわって進化しつづけ、その結果として海外では受け入れられなくなり、国際競争力を失ってしまった状態を意味する。それでも政府は国内産業を保護するために、制度などで延命措置を図ってきたのだ。

ガラパゴス携帯という俗称で呼ばれる携帯がその最たるものとされる。

 

主人公である捜査一課継続捜査担当の田川警部補の丹念な調査と事件の真相に迫るドラマの一方で、仲野定文の歩んできた人生が何だったのか、そこに大きな関心を寄せた。

 

2004年に改正労働者派遣法が施行され、製造現場への人材派遣が解禁された。一方で、製造業においてはガラパゴス化した製品をコストダウンさせて何とか市場を維持しようとメーカーはしのぎを削っていた。そのしわ寄せの結果として、製造に関わる人件費をいかに圧縮するかが企業の命題ともなった。そうした状況下での派遣労働が製造現場へも可能とされたのである。これを好機ととらえたのは人材派遣業であった。企業が正社員を削減して、需要に応じて変動可能な非正規労働者へのシフトを図ることによって、また社会保障費などの圧縮を行うことで、コストダウンを図った。人件費にもかかわらず、外注加工費とみなされるのである。

こうした結果として生じた製造現場の過酷な状況に非正規労働者が追いやられた。小説では、まさに現代の蟹工船のような状況を描いている。

 

NHKドラマではどうしても時間の関係ではしょらねばならないためか、今一つ良く分からない点があったのだが、原作を読んでみて、より良く物語を理解することができた。

しかしながら、最後少しすっきりしないところが残念ではある。

 

ではまた。