宮古港を出港したにっぽん丸は南下して、石巻港を目指した。3日目の朝8時に入港予定だ。
朝、つい早起きをしてデッキに出ると、ちょうど陽がのぼるのが見えた。まだこの日も少しうねりがあった。
目次
石巻入港~出港
8時入港そして下船が始まるということで、朝食は早めにとる必要があった。レストラン瑞穂では和食か、ビュッフェスタイルの洋食を選ぶことができる。なんなら、和食を食べて、更にビュッフェを取ることも可能だ。 和食と洋食ビュッフェを選べるという選択肢の多さもあるのか、6階の春日よりも混んでいた。
ビュッフェにはにっぽん丸オリジナルのビーフカレーもあったので、つい余計にそれを食べてしまったが美味しかった。
この日はすっかり天候も戻ってきていて快晴だった。ただそのためか朝方は冷え込んでいて、朝8時のデッキはとても寒かった。一けた台の気温だった。そんな中でも早朝から岸壁では多くの人が大漁旗を振って、にっぽん丸の入港を出迎えてくれていた。ありがたい話である。
地元中学校の吹奏楽部が歓迎の演奏を披露してくれた。その中で東日本大震災復興支援ソングの「花は咲く」が歌われ、演奏された。美しいハーモニーと歌声が胸に染みた。
石巻港でも感動があった。
歓迎の垂れ幕で出迎えをしてくれていた。
ここ、石巻でもオプショナルツアーがあり、1)松島行きバス(遊覧船オプションもあり)、2)ようこそ石巻、 3)女川応援ツアー の3つのコースがあった。
ただし石巻での滞在は短く、13時に出港のため、3~3.5時間のコースとなっていた。
ふと岸壁に並んだテントをみると、レンタサイクルが出ていたので、これはいいなと思った。宮古港でも同じようにレンタサイクルが並べられていた。自分で動くにはレンタカーを借りるのも良いが、もっとその土地の空気感を感じるためには、レンタサイクルもいいかもしれない。もし、次回にクルーズに乗るようなことがあれば、ぜひ自転車で街を巡ってみたいと思った。
岸壁には、女川のゆるキャラ、シーパルちゃんと石巻のキャラクターいしぴょん、という二つのキャラクターもお出迎えしていた。
つかの間の寄港時間が終わると、出港のイベントとなった。
石巻では出港時のイベントとして、地元高校生のチアリーディング・パフォーマンスが披露された。肩に乗るようなアクロバティックな技を展開していて、ハラハラしながら見ていた。
3日目午後~夕食・浅野祥プロジェクト再び
さて、船に戻ると遅い昼食をとり、そうこうしているうちにビンゴゲーム大会が始まった。これも目玉のイベントの一つだろう。司会をしていたイベントのディレクターがテレビ局のアナウンサーのような達者なMCぶりであった。
ビンゴになった人がどんどんと席を立って行った。こりゃビンゴにならないかと思いきや、最後で当たった。成果は、なんとフィナンシェだった。やった。
ディナーは、まず前菜が宮城県産鰹のなまり節、つぶ貝と長芋の山葵和えなど、そしてズワイガニも出てきた。
メインとなるのは、国産牛のすき煮だ。それまでにも、焼き物、揚げ物が出てきたので、けっこう食べ応えがあった。
デザートは、苺大福、梨、オレンジだ。苺大福がジューシーで美味しかった。
こうしてこの夜もたらふく食べたのだった。
さて、その夜、浅野祥プロジェクトが6階ラウンジ海でサロンコンサートを開くということになっていたので、夜聞きに行った。なんと会場は大入りの満員ですごいことになっていた。前夜の演奏を聴いて皆もう一度見てみたいと思ったのだろう。
その夜は、ピアソラのリベルタンゴを含め、世界の名曲という名のもとに演奏が繰り広げられた。前夜を彷彿とさせる熱い演奏で観客も乗っていた。特に民謡のメドレーが素晴らしかった。
このような良いコンサートを聞けるとは思っていなかったし、またにっぽん丸に乗らなければ、恐らくこの演奏家のコンサートを聞きに行くことはなかったと思うので、本当に良かった。
こうして興奮とともにその夜は更けていった。
そして東京港へ
4日目朝、起きてみると既に東京湾に入ってきていた。朝日が上がっていた。寝ている間に東京へ戻ってきていた。思えばあっという間の航海だった。そういえば、やり残したことがあった。うっかりショコリキサーを1回しか飲まなかったのだ。毎日飲もうと思っていたのに、いろいろな行事があって行きそびれてしまっていた。7階へ上がってみたが、朝は閉まっていて飲むことができなかった。残念。
8階のデッキに上がってみた。赤い煙突が見える。ここは1周100mのコースの縁取りがしてあって、回遊することができる。デッキチェアまで置いてあったので、隠れ家的に晴れた日に日光浴するにはいいかもしれない。
船は東京港に近づきつつあった。スピードを落として、波のない東京湾を滑るかのように静かに進行していた。
往きとは違って、今日は東京国際クルーズターミナルに到着する。ターミナルの前まで来ると、ここで船はタグボードに押されて180度回転をした。舳先からそのまま出港できるように位置を変えたのだ。
終わってみれば、あっという間の3泊4日だった。初めてのクルーズだったが、とても充実していて、素晴らしい体験だった。
にっぽん丸、さようなら。また、いつかお会いしましょう。
にっぽん丸は休むことなく、この後夕方には再び新しい航海に向けて出港をしていくのだった。
ではまた。