Nobby blog

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話題の映画「ザ・クリエイター/創造者」を観てきた。とても良かった、超おすすめだ。

最近、月に1度は映画を見ようと思っている。そこで、たまたま予告編で見たことがあった、「ザ・クリエイター/創造者」をたいした期待もせずに、ただAIロボットやアンドロイドものは結構好きなので、どんなものかと思って見に行った。

 目次

一言感想

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結果、個人的には超感動、とっても良かった。正直前半はそんな感じなのね、という印象で、うっかり途中でトイレに行ったりもしたのだが、後半そして最後の30分は圧倒的で、なぜか涙腺が緩みっぱなしだった。これまでに無いような凄い映像と圧倒的な音楽、そして後半の物語が凄かった。 SFものといっても、アクションを売りにするような作品とは違った。実にエモーショナルなヒューマンドラマだった。 

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ザ・クリエイターのホームページは以下から。

www.20thcenturystudios.jp

 

物語 

2065年地球ではAIロボット(アンドロイド)が急速に進化し、工場で働き、治安維持にあたり、人の生活を助けている。もはやなくてはならない存在となっている。しかし、ロサンゼルスではロボットが核兵器を爆発させて、100万人を死滅させるという事件が発生してしまう。それを機に、欧米(西洋)ではAIを禁止、全てのAIロボットを破壊することになったのだ。
 
しかし、その一方でアジア(映画ではニューアジアとされる=東洋)では、AIロボットの開発を続けており、より人間に近いシミュラントというAIロボットが開発されている。そのため、あくまでAI撲滅を狙う西洋と、AIと共に生きている東洋、およびAIとの戦争が何年も続いているのだ。

 

主人公のジョシュアはニューアジアの拠点に潜入調査していたが、攻撃の最中に妻とはぐれてしまう。恐らく死んでしまったとジョシュアは絶望する。そして、5年後。アメリカ軍は、戦争を終わらせるという最終兵器がアジアで生み出されたという情報をキャッチし、その兵器と創造者を抹殺しようとする。軍は現地にかつて潜入していて詳しいジョシュア(主人公)に再び任務に就くように説得。まだ妻が生きているかもしれないという情報と引き換えに、再びニューアジアへ向かうのだった。

そこで出会った最終兵器とされるのは、あどけない少女ロボットのアルフィだった。そこからジョシュアはアルフィを守りながら、アジアの奥深く、アルフィを作ったという創造者(ニルマータ)を探す旅に出るのだ。
 


先年の「デューン砂の惑星」の音楽を担当したハンス・ジマーによる壮大な音楽、そして、これまでに見たことが無いようなエモーショナルな映像が見るものを圧倒する。


 考察

1)映画では、西洋はAIロボットはあくまで機械であり、物でしかないとみなして、よって破壊・殲滅することに全くのためらいがない。単なる物としてスクラップするのだ。一方、東洋においてはそれは共生する存在であり、パートナーとして欠かせない存在となっている。当然ロボットが死ねば(オフすれば)手厚く葬る。そこには搾取する側とされる側の視点がある。 敵なのか、味方なのかという価値観の違いがそこにはある。

 

2)この映画を見て、いろいろ思い出されるものがあった。 

私にとって、古くは鉄腕アトムであり、PLUTOであり、日本の漫画においては、さまざまな愛すべきロボットとの共生の物語が作られてきた。例えば、他には業田良家の「ロボット小雪」、島田虎之介の「ロボ・サピエンス前史」などがある。

ゲームにおいても、「デトロイト・ビカム・ヒューマン」や「ストレイ」などアンドロイドやロボットを取りあげた作品が想起される。特に、この物語はデトロイトの逃避行を思わせる。

 

3)アメリカ軍によるニューアジアへの侵攻は、まるでベトナム戦争映画を見ているかのようなシーンが映し出される。それはかつての「プラトーン」などの映画でのオマージュなのか。地下にAIの拠点があるという設定も南ベトナム解放民族戦線の地下網を思わせる。

軍(西洋)による圧倒的な火力による蹂躙が、傲慢に押し付けてくる自己中心の正義の表れとして、虐げられたマイノリティ(AI)との戦いで表現される。 これはくしくも、今勃発していうイスラエルハマスとの戦いを想像せずにはいられない。

 

4)この映画の着地点がこの映画を感動的なものにしている。 

アメリカ軍が敵とみなすAIロボットを冷酷非道に攻撃する傲慢さを見ていて、我々はいつの間にかAI側を応援しているのだ。今の世の中で戦争の暗雲がいたるところで渦巻く中、一体人間とは何なのか。どう生きるべきなのか、主人公のジョシュアとアルフィがたどり着くクライマックスに我々は涙するのだ。そしてその答えに、我々が持つべき希望があると痛切に訴えてくるのだ。

 

まさに傑作。SF、AIやロボット・アンドロイドもの、抒情的な作品が好きな人にはものすごくハマる映画だと思う。個人的には今のところ今年ベストワンの作品だ。ぜひ、ご覧ください。

 

ではまた。